PS5も対応!Brook Wireless Fighting Boardで汎用アーケードコントローラを作ろう
[2020/11/12追記]本エントリで作成したコントローラを本日発売されたPlayStation5でストリートファイターV(PS4版)をプレイしたところ、全く問題なくプレイすることができました!
また、PlayStation5のメニュー部分も作成したコントローラで操作することができました。




Twitter上でBrook Wireless Fighting Boardのモニタ募集があったので軽い気持ちで応募した所、当選の連絡とともに商品が届きました。
これまでも他社製コントローラ基板を使ったコントローラはいくつか作成してきましたが、Brook社の製品は性能も価格も高く高級志向という印象があり手が出せなかったので、モニタとして触る機会ができたのは本当に光栄です、ありがとうございます!!

メイン基板です。
Brook Wireless Fighting Boardはゲームのコントローラ基板で、この基板にボタンやレバーを配線すれば自分で好きなようにコントローラが作れます。
主にアーケードの格闘ゲームやシューティングゲームの家庭用移植作をゲーセンと同じレバーやボタン操作で遊ぶための「ジョイスティック(アケコン)」を作るのに使います。

また、自作以外にも旧ハード向けのジョイスティックをBrook Wireless Fighting Boardに換装することで対応している最新ハード用コントローラにすることもできます。

Brook Wireless Fighting BoardはPS3/PS4/Nintendo Switch/PC、あと公式に記載はありませんがRaspberryPiのretropie環境でも動作しました。

メイン基板の他、ワイヤレス用のアンテナ、USBケーブルとオーディオの延長と外部向け端子が付属されています。
ワイヤレスで動作させるためにはバッテリーも必要ですが別売りです。

配線周りも自分で用意するのですが、専用アイテムとして「Fighting Board Cable」が売っているので秋葉原の千石電商さんで購入しました。

今回は、もう使わなくなって久しいXbox360用のジョイスティック(アケコン)を現行ハード向けに中身を入れ替えていくことにしました。

10年位前に購入したMAD CATZのストリートファイター4エディション(通称「猫TE」)です。
X-InputなのでPC用のコントローラとしてはまだまだ現役で使えますが、Xbox360が退役済みの我が家ではPC以外で使えない中途半端な存在なので、中身をBrook Wireless Fighting Boardにすることで汎用コントローラにしようと思います。


猫TEを開封(もちろんメーカー非推奨ですが既に10年前の機材なので気にしない)すると、改造を阻止するためにネジ山が樹脂でブロックされていました。
最近ではレバーやボタンを好きなメーカーのものに交換するのがある程度メーカーも想定していてアクセスしやすくなっていますが、当時はまだまだそんなことをするのは一部のマニアックな人だったのでしょう。「触らせない!改造させない!」という当時のMADCATZの強い意志を感じます(笑)

しかし、さすがに10年経過しているだけあって、この樹脂も少し削って見るとポロリと取れてあっさりと全パーツ取り外すことができました。


Fighting Board CableをBrook Wireless Fighting Board左下のピンに差し込んで、各ケーブルをマニュアル通りにボタンとレバーに差し込めば作業自体は完了です。超簡単。
Fighting Board Cable自体も大量の配線が出ているように見えますが「レバー部」「パンチボタン部」「キックボタン部」「スタートセレクトボタン部」に分かれて束ねられているので、よく見ると非常にシンプルな構造です。
リンク:Brook社マニュアルダウンロードページ


ボタン上部は「パンチ部」として左からP1〜P4
ボタン下部は「キック部」として左からK1〜K4となっています。


Brook Wireless Fighting Board左下の20ピンのピンアサインです。


左端のピンはケーブルが空いている状態で取り付けるのが正解です。
上のピンアサインリストと合わせて確認すると右下の赤が「DOWN(レバー下)」ということがわかります。(レバー部分は全部まとめてハーネス状態になってるので、レバー側にそのまま取付でOKです)

元のケーブルが出ていた所にアンテナを取り付けました。
オーディオとUSB外部アウトのパネル取付位置に迷って、とりあえずケース収納スペースに仮設置しました。後日場所が決まればどこか穴開け加工して固定します。


さっそくPS4で動作チェック。
PS4の「8分問題」での動作不良も全く起きず、快適にプレイできました。
ワイヤレス動作については前述の通り別途バッテリーが必要で、Dualshock4用バッテリが推奨されています。

「低遅延」を謳っているコントロール基板なだけあって、操作の違和感やモタ付きは全く感じませんでした。
写真の通り「有線接続」「REGZAのゲームモード」でプレイした感触なので、ゲームモードのないテレビや無線接続時はまた少し印象が違うかもしれません。
USBやワイヤレスでゲーム機に接続している以上、入力の遅延自体は0にはなりませんが、遅延自体が体感できない程度であればエンジョイプレイしている分には全く困りません。厳密な遅延検証をしているサイトも多数あるので、プロ仕様として使う場合はそういったサイトを参考にしてください。


今回は最低限必要なレバーやボタンしか接続しませんでしたが、Brook Wireless Fighting Board自体には連射のオンオフやアナログスティック部分のレバー対応、プレイヤー情報のLED表示などの端子も用意されているので、より本格的なコントローラ作成も可能です。


と、Brook Wireless Fighting Boardの換装をTwitterで実況しながら作業していた所、「東京トイボクシーズ」の作者うめ先生から「「東京トイボクシーズ」コミックス1巻の発売日記念でアケコンの自作しようかと~」と連絡が入りお手伝いすることになりました。

https://twitter.com/ume_nanminchamp/status/1270209131069108224

こちらもBrookのコントローラ基板を使用しました。
ワイヤレスモデルではなく「Universal Fightning Board With Hedders」を使っています。
制作中の状況は上のうめ先生のツイートをご確認ください。

完成したのがこちら


パーツ構成(うめ"妹尾朝子"model)
基板:Universal Fightning Board With Hedders
ケーブル:FIGHTING BOARD CABLE
レバー:セイミツLS-56-01
ボタン:セイミツ30Φと24Φネジ式
ケース:無印良品「自立収納できるキャリーケース・A4用」

レバーにLS-56-01を選んだ理由は2つの理由からです。
・内部パーツが小型で外に出るネジが2個で済む
・接続が5ピンタイプのハーネス式でBrook Universal Fightning Boardの専用ケーブルそのまま接続できる
また、ねじ式ボタンを選んだのは今回初めて使うケースで、もちろんコントローラ作成用のものではなく書類ケースの流用だったのでコンパネ天板部分の厚みが不明でハメ込み式だと合わない可能性があった為です。



パーツ構成(たきりょうこ レバーレスmodel)
基板:Universal Fightning Board With Hedders
ケーブル:FIGHTING BOARD CABLE / HIT BOX CABLE
ボタン:セイミツ30Φと24Φネジ式
ケース:無印良品「自立収納できるキャリーケース・A4用」

たきさんが作ったのはウメハラ選手がレバータイプから乗り換えた事で一躍有名になった理論値最強コントローラー。いわゆる「HitBox」型です。
レバー部分もバラしてみると上下左右にスイッチが付いていてその組み合わせで動いているので、レバーがボタンに変わっても内部構造的には同じなので、レバーのストロークが無い分入力が早くて正確、というのがレバーレスタイプの魅力です。
長年レバー型に慣れ親しんでいる自分の場合、確かに波動拳コマンドが「下・右+パンチ」で昇龍拳コマンドが「下・右・下+右+パンチ」で正確に出るクイック感は驚きましたが、親指部分が「上」入力なのはかなり戸惑いました。
BrookのFightning Board関連商品としてHIT BOX CABLEも発売されており、FIGHTING BOARD CABLEと組み合わせて使うことでレバー部分のケーブルもファストン端子化してボタン接続が簡単にできるようになります。


ここ数日でひょんなことからFightning Boardの複数モデルを触ることができて、今まで高級志向と少し敬遠していたのがもったいないくらい扱いやすい基板でした。
確かに日本語での環境が整備されていないので、「とりあえず買ってきた」状態だと何も情報が無くて面食らうと思います。
それもあってこのようにモニタを募って日本語での情報を増やそうということなのだと思います。

「Fightning Board 使い方」などで検索すると日本語での情報もけっこう出てくるので、公式サイトのマニュアルとあわせてじっくり取り組めば、電子工作的な作業もほとんどなく、そこまで難しくない改造です。
「自分のコントローラは自分で納得いくまでいじりたい」と思ったら是非チャレンジしてみてください。

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