アーケードゲームの基板は、本来はビデオゲーム筐体の中に入った状態で稼働する部品の一つです。
名前の通り電子部品が付いている"基板そのもの"の状態がほとんどです。
アーケードゲームを家で遊ぶ方法として基板をコントロールボックスやモニタに接続しますが、遊ぶ時も保存する時も丁寧に扱えば基本的には問題ないものです。
本来基板そのままの状態で取り扱う前提ではないのでカドが尖っている部分や電気が通っている部分が露出しているので知識0の状態で扱ったり、小さな子供がいるとすこしあぶない部分があります。
カプコンのCPシステムIIや業務用ネオジオのMVSはプラスチックケースに収納されたカートリッジタイプになっているので、基板の中でも扱いやすい部類です。
CPS2も中を開けると他のアーケードゲーム同様、基板が入っています。
(CPicS2で電池レス化した時のもの)
基板ケースを作る
CPS2やMVS程の扱いやすさまではいかないまでも、お気に入りの基板は保護しておきたい!と思いアクリルを使って専用の基板のケースを作りました。
アーケードゲームは基板だけでなく、操作説明が書かれているインストカードや必殺技やコマンドが載っている”帯"と呼ばれる短冊状のシートなど筐体装飾品も多数存在します。
それら紙類も基板と一緒にアクリルに挟み込むことで一つの展示品のようになりました。
ケースと言っても基板上下に基板よりも少し大きなアクリルで挟み込むシンプルなスタイルです。
厳密な箱型ではないので立体の設計を行う必要はなく比較的簡単に作ることができます。
テクノソフトの横スクロールシューティング『ハイパーデュエル』の基板です。
セガサターンにも移植された大好きなゲームです。
採寸
アクリルケースを作るにはまずは採寸を行います。
といっても難しいことはなく、定規をあてて大きさを測ればOKです。
運良く基板の説明書が付属されている場合、説明書には筐体へ組み込む為に基板の寸法だけでなくネジ位置までしっかり記載されている場合があります。そういう時はありがたくそのまま利用しましょう。
まずは下板用の採寸として
・全体の大きさ(タテ、ヨコ)
・ネジ穴の位置
・ネジ穴の大きさ
を計ります。
ネジ穴は全部きっちり計るのが面倒なら最低限四隅を押さえておけば大丈夫です。
アクリル自体のサイズは基板よりも外周を3~5mm大きく設計しています。
アクリル挟み込みのケースで落下ダメージなどまで考慮できているか不明ですが、縦に置いた時に直接基板が接地しない程度の効果はあると思って実寸よりもちょい大きめにしています。
ネジ穴の大きさやネジ穴の位置を計るにはノギスが便利です。
業務用の採寸ではないので100均に売っているプラスチックの簡易的なノギスでも充分計ることが出来ます。
ノギスの上についているツメをネジ穴に入れて広げることで計ることができます。
次に上板用の採寸です。
『ハイパーデュエル』の場合、基板左下部分にゲームの難易度や残機設定に使うディップスイッチがあるので、全体的な大きさとネジ穴は下板用を流用して、ディップスイッチ部分に穴をあけました。
さらにJAMMAコネクタ部分を上板のみカットしてアクセスしやすくしました。
アクリルの発注
採寸が終わったらアクリルの発注を行います。
『ハイパーデュエル』のアクリルケースはアクリルの注文からカットまで全てウェブ上で行えるアクリルオンラインさんで「アクリル板(押出)オーダーカット」をお願いしました。
上記の図面も採寸したデータをアクリルオンラインさんのサイトに入力することで自動出力されたものです。
リンク:アクリルオンライン
組み立て
カットを依頼して数日でアクリルが届きました。
組み立てに使うネジやスペーサーは秋葉原で「ねじ」の看板でお馴染み西川電子部品さんで調達しました。
様々なサイズや寸法のネジが1本から購入できるとても便利なお店です。
2Fにはアーケード基板にも使われている様々なコネクタが売っているのでネジフロア、コネクタフロアどちらも秋葉原にいくとほぼ必ず立ち寄っています。
アクリルから保護シートを取り外し帯電防止スプレーをかけて拭き取ります。
下板の下からゴム足、ネジを通しスペーサーを挟み込みます。
アーケード基板に限らず基板の下部分はハンダ面がありフラットではないので必ずスペースを開ける必要があります。
全てのネジ穴にネジとスペーサーをセットしたら基板を載せます。
自分の採寸に不具合がなければピタリとハマります。
アクリルケースを作る時、この瞬間が一番緊張するタイミングであり、ピッタリとハマった時の脳汁でる瞬間です(笑)
無事基板が収まったらメス-メスのネジ穴付きのナット状スペーサーで基板を固定します。
あとは上板を乗せてネジで固定すれば完成です。
上板は同じアクリルを2枚重ねて真ん中にインストカードを挟み込んでいます。
インストの上になるアクリルのみ「UVカット」機能がついているアクリルにしてインストカードの日焼け退色を予防しています。(もちろん直接日光のあたる場所に設置はしないように配慮しているのでほぼ自己満足)
『ハイパーデュエル』基板用アクリル、同じものを購入できます。
今回作った『ハイパーデュエル』のアクリルケースと同じものをアクリルオンラインさんに注文可能です。
もしハイパーデュエルをお持ちで必要な方は下記リンクからご注文ください。(このリンクは私にアフィリエイトや収益は入りませんw)
リンク:業務用ゲーム基板用保護ケース(ハイパーデュエル)上板(UVカットクリアー)
リンク:業務用ゲーム基板用保護ケース(ハイパーデュエル)上板(中)
リンク:業務用ゲーム基板用保護ケース(ハイパーデュエル)下板(ブラウン)
アクリル基板ケース、ほかのタイトル
『沙羅曼蛇2』
GX SYSTEM基板の『沙羅曼蛇2』はマザーボード、サブボードと2階建構造になっていたので「絶対壊しそう!」と思いアクリルケースに入れました。
下がマザーボード、上がサブボードでマザーボード下部分にも各種端子が出ているのでスペーサーも高さをとっているので結構巨大建築になってしまいましたが、スペーサーを基板純正のプラからアルミスペーサーに替えたことで剃りや曲がりも抑えられるようになって一石二鳥でした。
サブボード交換で別のタイトルにも変更できますが、他に対応タイトルを持っていないので『沙羅曼蛇2』専用のマザーにしています。
『ネビュラスレイ』
基板もデカいしインストも同じくらいデカい!
インストカードでほぼ全面埋まっていて基板が見えないのが難点ですが、インストに艦隊戦のCGがダイナミックに描かれているのでカッコいい!
『レイフォース』
これも大好きなゲームです。
続編の『レイストーム』の方がサブボードがメインボードからはみ出ている二階建て構造の基板構成でケースに入れたほうが良さそうなんですが、好みなのは初代『レイフォース』なので先に作っちゃいました。
写真右下、JAMMAコネクタの下にあるピンからステレオサウンドがアウトプットされているのでここからスピーカーにつなぐと迫力のステレオサウンドになるのもお気に入りです
アーケード版『レイフォース』基板のJAMMA横に出てるサウンド4ピン(Sコネクター)からケーブル伸ばして取り敢えず手元にあったモバイルスピーカーに繋いで音出してみたけど、もうそれだけで全然違う!キックがキモイいい!!ちゃんとしたスピーカーに繋いで遊びたい!! https://t.co/42YoL5kiyD pic.twitter.com/Yb5hbbIjMa
— H/de.(TECHNOJAPAN.net) (@hide_loopcube) April 14, 2022
アクリルケースに入れてない基板の保存について
普段は帯電防止のエアキャップ(プチプチ)に包んで縦置きで保存しています。
小型の基板はエアキャップの上から100均で売っているファイルケースに入れています。
全部がこのファイルケースに入れば管理も取扱もラクなんですが、基板の大きさや厚みはそれぞれバラバラなのでなかなか思い通りにはなりません。
最近は基板の価格も高騰していて、そう簡単には手に入らないから増えることもないだろう…と本棚の一部を使用していますが、シューティングゲーム以外はワリと格安だったりして徐々に棚が埋まり始めています。
やっぱり定番のメタルラック等が必要かな……。